KOL戦略に学ぶ、“共感される発信”の本質とは
こんにちは。
今回は再び資生堂を取り上げます。
注目するのは、中国市場におけるKOL(インフルエンサー)戦略です。
フォロワー数の多さではなく、“誰にどう届くか”を徹底的に追求した資生堂の取り組みは
共感のブランドマーケティングそのものでした。
フォロワー数が多い=売れるわけじゃない
資生堂は当初、中国のメガKOL(有名インフルエンサー)と組んで販売を展開していました。
しかし、ある大きな問題に直面します。
「KOLのファンはいるけど、資生堂のファンではない」
この課題を機に、資生堂はKOL戦略を根本的に見直すことになります。
KOLを“紹介者”ではなく“語り手”として育てた
資生堂が切り替えたのは、ブランドの世界観を語れるKOLとの長期育成・共創型戦略です。
・都市・年齢別にKOLを設計し、Z世代に刺さる発信を分散
・ブランド哲学まで共有し、製品ではなく思想を語る存在に
・自社採用+育成で、KOLがまるで社員のような存在に
これは中小企業にとっても大いに応用できる仕組みです。
むしろ“フォロワー数に依存しない”、地元で信頼されるマイクロKOLとの関係づくりこそ、再現性のある戦略です。
ライブ配信を“売る場”から“信頼される番組”へ
資生堂のライブ配信は、ただの「商品紹介」ではありません。
以下のように構成されたコンテンツ型のライブ番組です。
・30代の肌悩み相談室
・朝のルーティン紹介
・研究員が語る開発ストーリー
・視聴者参加型の投票&プレゼント企画
こうしたライブ体験を通じて、「買う」ではなく「信頼する」きっかけを設計しています。
中小企業でも今すぐ実践できる3つの視点
KOLは“誰にどう届くか”で選ぶ
→ フォロワー数ではなく、どんな人にどんな言葉で響くか。KOLは“語り手”として育てる
→ ブランド哲学まで共有することで、発信が一貫する。ライブは“売る場”ではなく“思い出される場”にする
→ 配信の目的は「明日も覚えていてもらうこと」。
共感を生むKOL戦略は、むしろ中小企業向き
予算が限られている企業こそ、KOLを“外注”ではなく“仲間”として育てる戦略が効果的です。
その人だけが語れる言葉、届けられる相手があるからこそ、共感が生まれます。
資金力ではなく、「誰とどんな物語を届けるか」という視点がブランドの武器になります。
海外向け発信を強化したい企業の方へ
「誰に、どんな言葉で届ければいいのか分からない」
そんなときこそ、現場の声と市場データをもとにした“伝わる戦略設計”が必要です。
私たちは、御社の想いを“言語化・構造化・配信戦略化”するお手伝いをしています。
次回は、熊本発「味千ラーメン」が中国で1,000店舗を突破した理由に迫ります!
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