日本の大手化粧品ブランド「資生堂」が中国市場で圧倒的な支持を得た理由とは?ローカライズを超えた現地戦略と中小企業でも真似できる3つの視点をわかりやすく解説。
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資生堂が“逆輸入ブランド”と呼ばれる理由
日本の大手化粧品メーカー「資生堂」。
いまや中国市場での人気は凄まじく、“日本からの輸入品”ではなく「中国から逆輸入したい」とまで言われるブランドへと進化しました。
その裏には、文化や生活に合わせて戦略を再構築した“現地最適化”の視点がありました。
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日本のままでは通用しなかった――現地女性の声に向き合う
資生堂が中国進出を果たしたのは1981年。
当初は日本国内で人気の製品をそのまま輸出する“外資ブランド”戦略でした。
しかし、実際の現地ユーザーからはこんな声が上がったのです:
– 香りが強すぎる
– 肌に重たく感じる
– メイクカラーが似合わない
そこで資生堂が出した結論は、ゼロから中国専用ブランドを立ち上げることでした。
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ブランドごと“現地開発”。設計思想を丸ごと変えた
資生堂は、ただ製品を調整するだけでなく:
– ターゲットごとにブランドを分ける(百貨店/マス向け)
– 香料・色・処方・パッケージすべてを中国女性向けに再設計
– 現地の流通チャネル(百貨店・EC・ローカル店舗)にも最適化
というように、本気で“現地ユーザー”を主語にした戦略を実行しました。
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KOLから自社ライブ配信へ。“販売”から“体験”へ進化
TikTokの中国版「抖音(Douyin)」を中心に、中国ではライブコマースが爆発的に成長しています。
資生堂も初期はKOL(インフルエンサー)と組んで販売していましたが、すぐに限界を感じます。
> 「売れても、ファンはKOLであって資生堂じゃない…」
そう気づいた資生堂は、自社スタジオを設け、自らライブ配信を行う体制へと切り替えました。
– 開発者・研究員が出演し、製品の哲学を語る
– ライブ配信を“番組”として構成
– 顧客と信頼関係を築く場として設計
つまり、ライブを「売る場所」ではなく「ファンを育てる場所」として再定義したのです。
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時代に合わせて“美の価値観”もアップデート
中国では、「白い肌が美しい」という旧来の価値観が、Z世代を中心に変わりつつあります。
資生堂はこの流れを読み、「私は私のままで美しい」というメッセージを発信。
肌色・年齢・体型にとらわれない多様なモデルを起用し、“思想”としての美しさを打ち出しました。
SNSでは「泣いた」「共感した」という声が多数投稿され、資生堂は“自分を肯定してくれるブランド”として広く支持されるようになったのです。
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中小企業でも活かせる!資生堂に学ぶ3つのブランド戦略
大手企業だからできた――そう思われるかもしれませんが、資生堂の成功の本質は“姿勢”と“視点”です。
1. 「なぜこの価格なのか」を伝える
単に安い・高いではなく、価格に理由があることを言語化する。
納得感があれば、それはブランドになります。
2. 「誰が、どんな想いで作ったのか」を語る
開発者・創業者の想いを伝えることは、中小企業の最大の武器になります。
3. 「企業の哲学・信念」をストーリーに変える
「白さ=美」ではなく「私は私のままで美しい」というように、
時代や文化に合わせて価値を再定義する力が、長期的なブランド構築の鍵です。
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海外展開で悩んでいる方へ
あなたの会社の商品やサービスには、必ず“届ける理由”があります。
それを現地の言葉で伝え、共感されるカタチにすることで、企業の規模を問わずグローバルブランドはつくれます。
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次回は「無印良品がなぜ中国で日本以上に支持されたのか?」をお届けします。
ブランドづくりに興味のある方は、ぜひ続けてご覧ください!