はじめに:なぜいま“越境EC”なのか
先日、当社のYouTubeチャンネルにて「越境ECに挑む日本企業の9割が失敗している」というテーマのニュース番組風動画を公開いたしました。
ご視聴いただいた皆様、ありがとうございました。
本記事では、動画でお伝えしきれなかったポイントをさらに掘り下げ
「なぜ9割が失敗してしまうのか」「成功企業はどのような戦略を持っているのか」について、具体的な事例やデータを交えながら詳説いたします。
この記事のポイント
越境ECにおける“9割失敗”の背景と理由
成功企業が必ず押さえている3つの戦略
越境EC挑戦を加速させるための実務的なステップ
すぐに使えるリサーチ&マーケティングのヒント
「海外に商品を販売したいけど、どこから手をつければ…」とお悩みの皆さま、ぜひ最後までお付き合いくださいませ。
1. 越境ECの現状:市場は拡大しているのに、なぜ9割が失敗?
1-1. 越境ECの市場規模は年々拡大中
経済産業省のデータ(※)によれば、世界のEC市場は年率10%以上の拡大が続いており、
日本企業にとっても新たなビジネスチャンスとなることは間違いありません。
特にアジア市場を中心に、購買意欲の高い顧客が増え続けており、「日本製品を購入したい」という消費者ニーズは依然として根強く存在しています。
※出典例:経済産業省「電子商取引に関する市場調査」ほか
しかし、“魅力的な市場”であるにもかかわらず
「越境ECに挑戦した日本企業の9割が失敗している」というショッキングな声も聞こえてきます。
その理由として、以下のような要因が考えられます。
海外特有の法規制や物流コストが想定以上に高かった
競合商品に埋もれ、市場で認知を獲得できなかった
現地消費者のニーズや文化を十分理解していなかった
1-2. “9割失敗”の根本原因
先のYouTube動画でも簡単に触れましたが、多くの企業が失敗する大きな理由を3つに絞って改めてご紹介します。
「日本で売れている商品なら海外でも売れる」という思い込み
例:純銅製のやかんを海外で販売したところ、「IH非対応」「重くて扱いにくい」などの理由で売れなかった。
海外特有の法規制・通関手続き・検疫証明などへの認識不足
例:コスメの成分や食品衛生基準をクリアできず、販売自体がストップした。
現地のマーケティングやプロモーション戦略が不在
例:ECサイトに並べただけで終わり、SNSや広告による認知拡大を一切行わず、まったく売れない。
この3つの壁を軽視していると、“9割の失敗側”に回ってしまうリスクが非常に高まります。
2. 成功企業だけが知っている3つのポイント
では逆に、成功している企業にはどのような共通点があるのでしょうか。
ここでは、成功企業を調査・分析する中で浮かび上がった“外せない3つのポイント”をまとめました。
2-1. 徹底した市場調査とターゲティング
「とりあえずアメリカで売ってみよう」「とりあえず中国で売ってみよう」
この“とりあえず”精神が失敗を招きがちです。一方、成功企業はターゲット国の市場特性や消費者動向を徹底的に調査し
「自社商品が刺さるニーズが本当にあるのか」を数字で裏付けています。
国・地域ごとの需要やトレンドを分析
アメリカ市場:オーガニック志向や健康志向が強く、「Natural」「Cruelty-Free」「GMO-free」などの表示が売上に直結。
中国市場:SNS(WeChatやRED〈小紅書〉など)で“バズ”を起こすことが必須。価格以上に「ブランドストーリー」や「流行感」が重視される。
競合リサーチと差別化要素の明確化
同様の製品が現地でどのくらいの価格帯で売られているのか。
競合他社にはない、独自の魅力やブランドストーリーは何か。
Point: “現地消費者がどんな商品を求めているのか”を理解することが、越境ECのスタートラインです。
2-2. 物流・法規制の把握と適切な対応
国を越えるビジネスには、必ず「通関手続き」や「輸入規制」「関税」などがつきまといます。
ここを軽視すると、大量の返品・没収や在庫管理の混乱により、あっという間に赤字転落する可能性もあります。
商品の法規制・検疫要件の確認
例:コスメの場合、輸入先国の成分表示や安全認証が必要となる。
例:食品・農産物の場合、保存可能期間や輸送条件が厳しく設定されている。
最適な物流ルートと倉庫の確保
例:アメリカ向けの大量発送であれば、LAやNY近郊の海外倉庫を活用することで配送時間とコストを削減。
例:中国向けでは、越境EC専用の物流ルート(保税倉庫など)を活用する手段も有効。
Point: 越境ECは「輸送コスト」「通関手続き」の最適化が利益を左右します。事前の見積りとシミュレーションは必須。
2-3. 現地でのマーケティング施策に本気で取り組む
「ECサイトに出品すれば自然と売れるだろう」は幻想
成功企業は、自社商品を魅力的にアピールするための施策に力を注いでいます。
特にSNSやインフルエンサーとの連携は、現在の越境ECにおいて欠かせない要素です。
SNS・インフルエンサー活用
中国ならWeChat公式アカウントやRED(小紅書)でのプロモーション。
アメリカならInstagramやTikTokでのインフルエンサーマーケティング。
ローカライズされた商品説明やカスタマーサポート
言語をただ翻訳するだけでなく、文化背景に合ったキャッチコピーや画像を用意する。
現地の休日やイベント(クリスマス、独立記念日、ダブルイレブン〈11.11〉セールなど)に合わせたキャンペーンを展開する。
Point: 「現地消費者とどのように接点をつくり、信頼を得るか」を徹底的に考えることで、売上が大きく変化します。
3. 具体的なアクションプラン:越境EC成功への5ステップ
ここからは、実際に越境ECを始める・または拡大する際に役立つ行動プロセスを5つのステップに整理してご紹介します。
ターゲット国選定と市場調査
想定顧客、競合状況、市場規模、成長性をチェック。
SNSや検索ボリュームなどのデータを活用し、ニーズを数値化。
商品選定と差別化要素の明確化
「海外ならではの魅力」を訴求できる商材を選ぶ。
既存商品が難しい場合は、海外向けに改良・パッケージ変更するのも手段の一つ。
物流・法規制・通関手続きの確認
輸出入の規制対象となる成分・材質がないか事前調査。
物流企業や通関業者との連携を図り、コスト試算と納期シミュレーションを行う。
マーケティング戦略の立案と実行
ECプラットフォーム選定(Amazon、Alibaba、Shopifyなど)。
SNS広告、インフルエンサー起用、海外向け動画コンテンツ発信など、多角的にプロモーションを展開。
PDCAサイクルの徹底
売上データやアクセス解析、カスタマーからのフィードバックを定期的に分析。
在庫回転率やリピート購入率などKPIを設定し、改善策を都度実施。
4. ケーススタディ:実際に成功を収めた日本企業の例
4-1. 伝統工芸品×海外高級路線
とある漆器メーカーは、海外の高級百貨店や富裕層向けECサイトと連携。
単なる「和風の器」としてではなく、「何百年の歴史を継承する日本伝統のアート」としてブランディングを行い、高価格帯ながら販売を拡大しました。
ポイント: 価格競争に巻き込まれない“物語性”と“希少価値”を訴求することで成功。
4-2. コスメブランド×WeChatライブコマース
ある日本のコスメブランドは、中国のインフルエンサー(KOL)と提携し、WeChatのライブ配信で商品を紹介。
視聴者へのサンプル配布やライブ限定クーポンを用意し、発売初日で日本国内1年分の売上を超える注文が入りました。
ポイント: 現地SNSと連動したプロモーションで爆発的に認知度を上げる戦略。
5. まとめと今後の展望
本記事では、YouTube動画でも話題となった「越境ECに挑む日本企業の9割が失敗する理由」をさらに深堀りし、
成功するための具体的なステップと事例をご紹介しました。
成功への3つの鍵
入念な市場調査
物流・法規制への理解と対策
本気のマーケティング戦略
越境ECは簡単ではありませんが、正しい手順とパートナー選びを行えば、大きなリターンが期待できる魅力的な市場です。
国内需要が伸び悩む中、海外に活路を見出す企業も増えています。
「海外の顧客に自社の商品を届けたい」
「国際的なブランドイメージを構築したい」
「国内市場以外に新たな販路を確保したい」
こうした思いがある方は、ぜひ今回の内容を参考に一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。
弊社でも、越境ECに関するコンサルティングやサポートを行っております。ご興味のある方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。
今後も越境EC最新情報を発信していきます!
この記事が少しでも皆さまのビジネスのヒントになれば幸いです。今後も当ブログでは、以下のような情報を随時アップデート予定です。
【必見】海外ビジネスに失敗しないための攻略ガイド
【知っておきたい】主要ECプラットフォームの比較と成功事例
【徹底解説】世界ブランド化に成功した日本企業は、何故偉業を達成したのか
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おわりに
越境ECは、国内ECとはまったく異なるステージで戦うビジネスです。
法規制や物流コストなどハードルは多いものの、クリアすれば世界中をマーケットにできる大きな可能性があります。
私たちは、皆さまがこの大きな舞台で存分に活躍されることを願い、引き続き情報を発信してまいります。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。今後とも当ブログ&YouTubeチャンネルをどうぞよろしくお願いいたします。
当社のサービスについて
当社では、越境ECをはじめとするグローバル戦略のコンサルティングから実務サポートまで、ワンストップでご提供しています。
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それでは、また次回のブログ記事や動画にてお会いしましょう!