空間設計と文化翻訳に学ぶ、ブランドの本質とは
こんにちは。
今回ご紹介するのは「無印良品」が中国市場で成功を収めた背景です。
実は中国では、日本以上に“無印ファン”が多いとも言われており
その理由は単に「シンプルでおしゃれだから」ではありません。
この記事では、無印良品が中国で支持された3つの戦略と、中小企業でも応用可能なポイントを深掘りします。
当初は“地味で味気ないブランド”と見られていた
無印良品が中国に進出したのは2005年。
しかし、当初はまったく売れませんでした。
その理由は、「シンプル=高級・美しい」という価値観が、当時の中国にはなかったからです。
特に中間層以上の消費者にとっては、「高級=派手」がまだ根強く残っていました。
商品ではなく“空間”でブランドを体験させた
そこで無印良品が取った戦略は、「商品ではなく空間を売る」ことでした。
・店舗面積は日本の2〜3倍
・カフェやギャラリー併設型の“体験型ストア”
・間接照明、無垢素材、余白を活かした設計
このような「空間そのものがブランド」という演出によって
“無印の美意識”を五感で感じられる場づくりを徹底したのです。
中国の若者の価値観に“思想”でアプローチした
無印はやがて、「なぜこの商品を作ったのか」「どんな暮らし方を提案しているのか」といった
思想ベースのマーケティングにシフトします。
・書籍コーナーで“考える時間”をテーマに選書
・SNSで「自然と暮らす」「生活を整える」投稿を発信
・コンセプトや世界観を丁寧に言語化
こうして、商品そのものではなく、無印という思想・価値観が“共感”の対象となっていったのです。
“文化の翻訳”ができたからこそ、伝わった
無印の価値観は、日本人にとっては当たり前でも、中国人にはまったく違う文化背景があります。
たとえば:
・「空気のような存在」が評価される日本
・「意味のあるモノ」が評価される中国
そこで無印は、中国向けの独自メディア「無印良品生活研究所」を立ち上げ、SNSや出版物で中国人の文脈に合わせて無印の思想を再翻訳し続けました。
結果、「無印=中国の暮らしに合うブランド」という認識を獲得していったのです。
中小企業でも活かせる!無印に学ぶ3つの視点
空間そのものがブランドになる
→ 展示会やオンラインショップでも、見せ方を設計するだけで“世界観”が伝わる。“何を売るか”より、“どんな生き方を提案するか”
→ 商品スペックではなく、「こんな暮らしができる」が刺さる時代。価値観を“文化の言葉”に翻訳して伝える
→ 海外展開では、直訳ではなく“現地の感覚”で伝えることが信頼につながる。
無印は“思想”をブランドにした
無印良品が中国で成功したのは、決して「シンプルでオシャレだったから」ではありません。
それをどう伝えるか、どんな言葉で届けるかに徹底的にこだわったからこそ
現地の暮らしに根付き、共感されるブランドへと成長しました。
海外展開に挑むあなたへ
どんな企業でも、伝え方ひとつでブランドは変わります。
私たちは、御社の商品やサービスの「本質」を掘り起こし、現地に届くストーリーとして言語化・発信するお手伝いをしています。
次回は、ユニクロが中国で“愛国企業”とまで呼ばれるようになった理由を解説します。
引き続きお楽しみに!
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