再現したくなる空間ブランディング戦略とは
こんにちは。
本日はシリーズ最終回、ニトリの中国ブランディング戦略を解説します。
「お、ねだん以上。」で知られるニトリ。
いまや中国では“コスパの象徴”として受け入れられ、SNSでも“真似したくなる部屋”として話題になっています。
なぜ単なる家具屋ではなく、暮らし全体を提案するブランドとして定着できたのか?
その背景には、SPAモデル × 空間設計 × SNS拡散戦略の見事な融合がありました。
価格が安くても“信頼される”理由とは?
ニトリは「安い=不安」という常識を覆しました。
それは“なぜこの価格なのか”をきちんと伝えているからです。
自社で製造・物流・販売まで一貫するSPAモデル
Web・店舗・店員トークですべて“価格の理由”を説明
安さに対して“思想がある”ことで信頼が生まれる
価格を隠さず、構造を語ることで、価格そのものがブランドの一部となっています。
ニトリが売っているのは「家具」ではなく「再現可能な暮らし」
無印良品は“余白と哲学”を打ち出しましたが、ニトリはその中間。
誰でも真似できる、“リアルで手が届く暮らし”を提案しています。
家具ではなく“空間全体”をディスプレイ
生活スタイル別に部屋を設計(1人暮らし、子育て、老後など)
買ったその日から再現できる生活感をビジュアル化
この設計が「この部屋、真似したい!」という感情を引き出し、SNS拡散を生む起点となっているのです。
SNSで“真似されるブランド”へ進化
中国SNS(Weibo、Douyinなど)では、
「ニトリ風の部屋をつくってみた!」という投稿が数多くバズっています。
投稿されやすい売り場設計(写真映え・QRコード)
Instagram感覚の空間づくり
ハッシュタグや動画スポットの設計で“再現可能性”を演出
このように、「見せたい空間」が「真似したくなる空間」になる仕組みを構築しているのです。
中小企業にも活かせる!ニトリに学ぶ3つの視点
価格は“説明できれば信頼になる”
→ 安いから買われるのではなく、“納得できる”から選ばれる。商品ではなく“暮らしの場面”を見せる
→ どんな人が、どんな風に使うかを先に伝えることで、感情が動く。“真似したくなる空間”は、広告費ゼロで拡散される
→ シェアされやすい設計は、売上と信頼を自然に生む。
最後に:世界ブランドに共通するのは「伝え方」だった
資生堂、無印、ユニクロ、味千、そしてニトリ。
全6社に共通していたのは、「どんな生活を、どんな言葉で伝えるか」に本気で取り組んでいたことです。
私たちは、「想いをちゃんと伝える戦略」があれば、企業規模に関係なく世界に届くと信じています。
海外展開・ブランディングにお悩みの方へ
もし、自社の商品やサービスを「現地でどう伝えればいいかわからない」とお悩みなら、私たちにご相談ください。
最速の市場調査と、生活文脈に根ざしたブランド戦略設計で、御社の“伝わる仕組み”を一緒につくります。
次回シリーズも、引き続き“世界に通用する日本企業”のリアルをお届けしていきます。
ぜひお楽しみに!
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