価格ではなく“共感”で選ばれるブランド戦略とは
こんにちは。
今回は、ファストファッションの代表格「ユニクロ」が中国で“愛国企業”とまで呼ばれるようになった理由を紐解きます。
日本では「安くて高品質」のイメージがあるユニクロですが、なぜ中国ではそれ以上の意味を持つブランドへと進化したのでしょうか?
この記事では、ユニクロの中国戦略を「価格設計」「現地対応」「ブランド哲学」の3つの軸で解説し、中小企業でも実践できるポイントをまとめました。
中国初出店時は“地味すぎる”と不評だった
ユニクロが中国に初出店したのは2002年の上海。
しかし当初は「地味」「高級感がない」と厳しい評価を受け、苦戦を強いられました。
転機が訪れたのは2008年の北京五輪、そして2010年の上海万博。
中国の中間層が「品質のよい日用品」を求め始めた時代の変化に、ユニクロのコンセプトがぴたりと重なったのです。
なぜユニクロは“価格が安くても信頼される”のか?
ユニクロの強さは、価格の安さを「仕組みで説明できること」にあります。
SPA(製造小売)モデルにより、
・製造〜販売まで一貫管理
・高品質でも低価格を実現
・Web、店舗、店員トークまで価格の理由を説明
このように「なぜこの価格なのか」を丁寧に伝えることで、価格がブランドの一部となっています。
中国独自の文化やニーズに対応したローカライズ
ユニクロは中国で以下のような対応を行いました:
・アプリでの試着予約・店舗受取システム
・KOL(インフルエンサー)によるライブ配信
・小柄な体型に合わせたサイズ展開や限定カラー
「ちゃんと中国の暮らしを理解してくれている」と感じさせるローカライズによって
外資ブランドではなく“身近な企業”として信頼を勝ち取りました。
炎上を越えた“共感の力”
2021年、ウイグル問題で多くのグローバルブランドが中国で不買運動の対象となる中、ユニクロだけは“例外的”に支持され続けました。
SNS上では、
「ユニクロはもう生活の一部」
「このブランドを切り捨てるなんて無理」
という声が多く見られ、製品ではなく“生活そのもの”を支える存在になっていたことがわかります。
中小企業でも活かせる!ユニクロに学ぶ3つの視点
価格に意味を持たせる
→ 「なぜこの価格なのか?」を説明できれば、価格は信頼になります。暮らしの中で使われる未来を描く
→ 商品単体ではなく、「どんな生活になるのか」を伝えることが共感を生みます。“共感”こそがブランドの免疫力になる
→ 社会状況が変わっても、共感で結ばれていれば選ばれ続ける。
ブランドは“安いから”ではなく“共感されるから”買われる時代へ
ユニクロの戦略は、スペックや価格で差をつけるのではなく、生活への入り込み方で信頼を築くものです。
これは大企業だからできたことではなく
中小企業でも“誰に、どんな生活を届けたいか”を明確にすることで実践可能です。
海外展開に挑むあなたへ
どんな企業でも、自社の価値を共感できる言葉と体験で発信すれば、世界に届きます。
私たちは御社の商品・サービスが「ちゃんと伝わる仕組みづくり」を支援しています。
次回は、資生堂がKOL(インフルエンサー)戦略でZ世代をどう惹きつけたかを深掘りします。
お楽しみに!
あわせて読みたい
・無印良品が“空間”で共感を生んだ中国戦略
・味千ラーメンが中国で1000店舗以上拡大できた理由
・ニトリが“真似したくなる暮らし”を設計して支持された秘密